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発達障害を持つお子さんについて、「不器用である」という話を耳にすることがよくあります。しかし、実際に担任の先生などからは、「発達の特性はあるが、とても器用な子もいる」という疑問も寄せられます。
発達障害を持つ子どもは、必ず不器用になるのでしょうか?
結論:発達障害だからといって必ず不器用になるわけではない
この疑問に対する結論として、発達障害だからといって不器用に必ずなるというわけではありません。
しかし、発達障害を持つお子さんの中で、不器用な子の割合が多くなる傾向があるのは事実です。これには「発達性協調運動障害(DCD)」という特性が大きく関わっています。
なぜ「不器用」な子が多くなるのか?
発達障害(ASDやADHDなどの特性)を持つ子どもが不器用だと認識されることが多いのは、発達性協調運動障害(DCD)を併発(併存)しているケースが多いためです,。
DCDは、発達障害の特性(ASDやADHDなど)と混在する例の一つであり、このDCDが併発することで、発達障害のお子さんの中に不器用な子の割合が多くなってしまいます。
「不器用さ」は、感覚的には、分厚い防寒用の手袋をはめてファスナーを開け閉めしたり、鉛筆で書いたりするような、細かい操作がしにくい感覚に近いと説明されています。
この不器用さは、手先の細かい運動(微細運動)だけでなく、走ったり飛んだりといった大きな動作(粗大運動)が苦手なお子さんも多くいます。
発達障害の特性があっても「器用」な子がいる理由
一方で、発達障害の特性を持つお子さんの中には、DCDを併発しておらず、非常に器用な子もいます。
特に、以下のような特性を持つお子さんは器用な場合が多いです。
• 視覚優位な特性:目で見る力(視覚)がとても得意で、視覚的に捉えて物事を理解するのが上手。
• 目と手の協調:目と手で操作する能力が優れており、目で見ながら手で操作する作業を器用にこなす。
こうしたお子さんは、ハサミやお箸の操作、またはお手本を真似て書く「模写」などを非常に上手にこなすことがあります。
大切なのは「固定概念」に囚われない見方
発達障害の特性(ASD、ADHDなど)は、しばしば混在することが多いです,。そのため、「ADHDだから」「発達障害だから」というような固定概念に囚われずに、そのお子さん一人ひとりの特性を見ていくことが極めて重要です。
「発達障害だから必ず不器用」という見方ではなく、そのお子さんが「どういう特性を持っていて、どこが得意で、どこが苦手か」という観点で見ていくことが、その子を知るための手掛かりとなります。
不器用な子への支援の考え方
不器用さへの対応や関わり方については、以下の点を理解しておく必要があります。
1. 特性の克服は難しい
◦ 苦手な分野を訓練で完全に克服するのは難しいとされています。
◦ 訓練によって多少慣れたり、緩和されたりすることはありますが、特性自体がなくなることはないと考えた方が良いでしょう。
2. 環境から排除しない
◦ 運動が苦手だからといって、運動に関わる環境や活動から一切排除してしまうのは、望ましくない対応です。
◦ 運動が苦手なだけで、「運動したくない」というわけではない場合もあるからです。
3. 「楽しい」レベルに合わせた活動の提供
◦ お子さんが楽しくできるレベル感に合わせた活動を用意してあげることが、アプローチとして必要です。
◦ 苦手であっても、「これなら無理なく楽しくできるよね」という視点で活動を提供し、それを楽しんで進めていくことが大切になります。
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