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保育と療育の境界線とは?
保育現場で働いていると、「クラスに療育に通っている子がいるけれど、そもそも保育と療育って何が違うんだろう?」と素朴な疑問を抱くことはありませんか?
療育(りょういく)という言葉は、もともと「治療」と「教育」を組み合わせた造語です。 かつては身体不自由のお子さんへの教育的要素として使われることが多かったのですが、近年では発達障害のあるお子さんへの支援を指す言葉として広く定着しています。
今回は、一見別物に見える「保育」と「療育」の共通点と相違点について、その本質を探っていきます。
結論:保育も療育も本質は「同じ」
結論から申し上げると、保育と療育は本質的に同じものであると言えます。
ある専門家は、療育を「注意深く、丁寧に配慮された子育て」と定義しています。 この考え方は保育にもそのまま当てはまります。お子さんを一人ひとり丁寧に観察し、その子に合わせた関わり方をしていくという点では、どちらも変わらないのです。
保育と療育の「3つの共通点」
具体的な活動のベースとなる部分には、以下のような共通点があります。
1. お子さんの深い理解 「何が得意で何が難しいのか」「何が好きで何が苦手か」といった、その子のベースを理解しなければ、適切な支援や関わりはできません。
2. 仮説と検証 「なぜうまくいかなかったのか?」と事前・事後に仮説を立て、次の関わり方を工夫していくプロセスは共通しています。
3. 環境設定と自発性の尊重 「できた!」という達成感を感じてもらい、自発的な活動につなげるための環境設定を行うことも、保育・療育ともに不可欠な要素です。
現場における「4つの相違点」
本質は同じでも、実際の現場での「力点」や「役割」にはいくつかの違いがあります。,
• 子供への介入(プロンプト)の多さ 療育は個別や小集団(3〜6人程度)で行われることが多く、集団保育に比べて一人ひとりへのヒントや助言、手助け(プロンプト)が多くなる傾向があります。
• 専門的知識の必要性 療育の現場は発達特性のあるお子さんがほぼ100%であるため、より専門的な知識が凝縮して求められます。, もちろん保育者にも知識は必要ですが、療育はその専門性がより特化しています。
• 関わる時間の長さ 保育者は圧倒的に長い時間を子どもと過ごします。 それに対して療育は、集中力を維持するために1回1時間以内など、時間を絞って集中的に行われることが一般的です。
• 日常生活動作の支援 食事や排泄といった「生きるための基本動作」の支援は、長時間を共に過ごす保育の現場において非常に大きな比重を占めます。
まとめ:どちらも欠かせない「両輪」の存在
療育は、保育現場での生活を支える「補助的要素」としての役割も持っています。 保育と療育、一方が優れているというわけではなく、それぞれが異なる役割を持ちながらお子さんの成長を支える「両輪」のような関係です。
「発達障害だから療育でなんとかしてもらう」のではなく、その子の特性を理解し、現場に合わせた「丁寧な関わり」を積み重ねていく。その姿勢こそが、保育と療育をつなぐ架け橋になるはずです。
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