「次に何をするのか」「これからどこへ行くのか」を言葉だけで伝えると、子どもによっては理解しにくいことがあります。そんなときに役立つのが、写真やイラストなどを使って情報を目で見える形にする「視覚支援」です。
視覚支援というと絵カードを思い浮かべる方も多いでしょう。絵カードは素材を見つけやすく、手軽に作れる便利な方法です。一方で、より具体的に伝えたい場面では、実際のものや場所を撮影した写真が適していることがあります。
今回は、動画「視覚支援のコツ」の内容をもとに、写真を使うメリットと、伝わりやすい写真を選ぶポイントを紹介します。
視覚支援に写真がおすすめな理由
実物・写真・絵カードを比べると、実物に近いものほど情報が具体的になります。
- 実物:最も具体的で理解しやすい
- 写真:実物に近く、持ち運びや準備もしやすい
- 絵カード:手軽に使える一方、イラストとしての抽象性がある
実物を毎回用意するのは現実的ではありません。たとえば「バナナ」を伝えるたびに本物のバナナを持ってくることは難しいでしょう。その点、写真なら実物に近い情報を示しながら、カードとして手軽に運用できます。
スマートフォンで撮影し、小型プリンターなどで印刷してラミネートすれば、日常的に使える写真カードを簡単に作れます。
写真なら細かな違いによる混乱を減らしやすい
発達に特性のある子どもの中には、イラストと実物の色・形・質感・数などの違いを細かく捉え、「別のもの」と認識する子もいます。
たとえば、絵カードには3本のバナナが描かれているのに、実物は1本だった場合、同じ「バナナ」と結びつきにくいことがあります。実際に使うものを撮影した写真なら、こうした曖昧さを少なくできます。
写真による視覚支援は、発達特性の有無にかかわらず活用できます。声かけを減らしても目で見て直感的に理解しやすくなり、活動がスムーズに進むことで、子ども自身も「できた」という達成感を得やすくなります。
コツ1:「場所全体」より、その子に伝わる目印を撮る

「これから公園へ行くよ」と伝えるために、公園全体の写真を見せても、どこに注目すればよいのか分かりにくい場合があります。
そこで、次のような象徴的なものを大きく撮影します。
- 子どもがよく遊ぶ遊具
- 公園入口の門や看板
- その公園ならではの像や目印
大切なのは、一般的な「公園らしさ」ではなく、その子が実際の場所と結びつけやすい目印を選ぶことです。
コツ2:変わりやすいものではなく、固定されたものを撮る

「これから給食です」と伝える場合、その日の献立を写した写真は、毎日内容が変わります。写真と目の前の食事が違うと、「これは給食ではない」と感じる子もいるかもしれません。
給食を表す写真には、献立が変わっても同じものを選ぶのがポイントです。
- いつも使うコップやスプーン、フォーク、箸
- 給食時に必ず座る椅子
- 椅子や座席についているマーク
- いつも給食を食べる場所
その活動と安定して結びついているものを写真にすると、意味が伝わりやすくなります。
コツ3:携帯するか掲示するかは、使う場面で決める
写真カードを持ち歩くのか、決まった場所に掲示するのかは、対象や場面に応じて使い分けます。
携帯が向いている場面
- 移動しながら見せることが多い
- 特定の子どもに個別で見せる
- その場ですぐ次の行動を伝えたい
カードを携帯していれば、その場で「これから公園へ行くよ」と示せます。掲示場所まで移動する工程が増えないため、指示も複雑になりにくくなります。
掲示が向いている場面
- クラスやグループ全体に伝える
- 予定を決まった場所で確認する
- 子ども自身が必要なときに見返せるようにする
掲示した写真を指さしながら、みんなで次の活動を確認する方法も有効です。
まとめ:具体的で変わりにくい写真を選ぼう
視覚支援では、ただ写真を用意するだけでなく、「子どもが何と結びつけて理解するか」を考えることが大切です。
写真を選ぶ際は、次の3点を意識してみましょう。
- 実際のものや場所に近い、具体的な写真を使う
- その子にとって象徴的で、変わりにくいものを撮る
- 個別支援なら携帯、集団への支援なら掲示など、場面に合わせて使う
視覚支援の受け取り方には個人差があります。子どもの反応を見ながら、写真の内容や大きさ、見せるタイミングを調整していきましょう。