はじめに
近年、日本では不登校のこどもが増加しており、その数は年々増加傾向にあります。不登校の背景には、発達特性、いじめ、学習の遅れ、家庭環境などさまざまな要因が絡んでいます。そのため、学校に通えないこどもたちが学びの場を確保するために、フリースクールやオンラインフリースクール、自習などの選択肢が重要になっています。
こうした場で学習や活動を行う場合、こどもたちのモチベーションを高めるために「出席認定」が非常に重要です。しかし、実際には学校や自治体によって基準が異なり、一部のこどもが適切に出席認定を受けられないケースも見られます。本記事では、フリースクールにおける出席認定の現状と課題について詳しく解説します。
出席認定とは?
出席認定とは、学校に直接通学していなくても、フリースクールやオンライン学習、自宅学習などで学びを継続している場合に、一定の基準を満たすことで「出席」とみなされる制度です。
文部科学省のガイドラインでは、学校長(校長)の判断で出席認定を行うことができるとされています。ただし、この判断基準は各学校や自治体によって異なるため、こどもがフリースクールに通っていても必ずしも出席扱いになるわけではありません。
フリースクールでの出席認定の現状
フリースクールに通うこどもたちが出席認定を受けられるかどうかは、学校の対応によって大きく異なります。一般的に、以下のような条件が出席認定の基準として設定されることが多いです。
- フリースクールが学習の場として適切であること
- 学校教育と同等の学習ができるか
- こどもが継続的に通っているか
- 学校や自治体との連携があること
- フリースクールの活動報告を学校に提出しているか
- 学校側がフリースクールの教育活動を認めているか
- こどもの学習状況や成長が確認できること
- フリースクールでの学習記録があるか
- 学力や社会性の向上が見られるか
しかし、実際には学校や自治体によって判断基準が異なり、同じフリースクールに通っていても、ある学校では出席認定されるが、別の学校では認められないというケースもあります。このような状況は、不登校のこどもや保護者にとって大きな負担となります。
出席認定が厳しすぎることによる問題点
本来、出席認定の目的は、不登校のこどもが学ぶ意欲を持ち、自分に合った学習環境で成長できるようにすることです。しかし、学校や自治体によって判断基準が厳しすぎるために、以下のような問題が発生しています。
- こどものモチベーション低下
- フリースクールで一生懸命学んでいても、出席扱いにならないと、学ぶ意欲が削がれる。
- 「どうせ頑張っても学校に認められない」という気持ちが生まれる。
- 保護者の負担増加
- フリースクールの活動が認められない場合、保護者が学校と交渉する必要がある。
- 一部の保護者は、学校側と折り合いがつかず、こどもの学びの場を探し続けることになる。
- こどもの進学や進路への影響
- 出席日数が不足すると、内申書に影響を与える可能性がある。
- 進学や就職時に不利になるケースもある。
どうすれば適切な出席認定が行われるのか?
適切な出席認定が行われるためには、以下のような改善策が必要です。
1. 文部科学省の明確なガイドライン設定
現在、出席認定は学校長の裁量に委ねられていますが、全国的に統一された明確なガイドラインを設けることで、フリースクールでの学習をより広く認めることができます。
2. 学校とフリースクールの連携強化
学校とフリースクールが定期的に情報共有を行い、フリースクールでの学びの実態を学校側が理解することが重要です。例えば、以下のような取り組みが考えられます。
- フリースクールの学習レポートを学校に定期提出する
- 学校側がフリースクールを訪問し、学習環境を確認する
- 保護者を交えた三者面談を定期的に実施する
3. こども一人ひとりに合わせた柔軟な対応
すべてのこどもに画一的な基準を適用するのではなく、一人ひとりの状況を考慮した柔軟な対応が求められます。特に、発達特性を持つこどもにとっては、学校に戻ることよりも、自分に合った学びの場を見つけることが重要です。
まとめ
フリースクールやオンラインフリースクールを活用することで、不登校のこどもたちは学ぶ機会を得ることができます。しかし、出席認定の基準が厳しすぎることにより、本来の趣旨が十分に活かされていない現状があります。
今後、こども一人ひとりが自分に合った学び方を選び、適切に出席認定を受けられるよう、制度の見直しや学校・自治体との連携強化が求められます。こどもたちの未来のために、より柔軟で公平な出席認定の仕組みを整えていくことが重要です。