1. はじめに
近年、発達障がいを持つこどもへの早期支援の重要性が高まり、児童発達支援事業のニーズが急増しています。これに伴い、新たに児童発達支援事業を開業したいと考える方も増えています。
児童発達支援事業を開業するには、制度の概要、報酬体系、加算の仕組みを理解し、適切な運営計画を立てることが重要です。本記事では、児童発達支援の基本的な制度の枠組みから、報酬や加算の詳細まで分かりやすく解説します。
2. 児童発達支援事業の概要
2-1. 児童発達支援とは?
児童発達支援とは、発達に課題のある**未就学児(0~6歳)**を対象に、生活能力向上のための療育や訓練を提供する福祉サービスです。
主な目的は、
- ことばやコミュニケーションの発達支援
- 運動機能の向上
- 集団生活への適応支援
- 保護者支援(相談や家庭での対応アドバイス)
といった、こどもの発達を促す支援を行うことにあります。
2-2. 児童発達支援事業所の指定要件
児童発達支援事業を開業するには、自治体(都道府県または市区町村)から指定事業所として認可を受ける必要があります。
指定要件の主なポイント
- 法人格の取得(株式会社、合同会社、NPO法人、社会福祉法人など)
- 適切な施設の確保(一定の広さ、バリアフリー設計など)
- 必要なスタッフの配置(児童発達支援管理責任者、保育士、児童指導員など)
- 運営規定の作成と提出(利用者支援計画、サービス提供内容など)
- 自治体の審査・実地調査の通過
また、自治体によっては、児童発達支援の需要が満たされている地域では新規の指定が厳しくなる場合もあるため、事前に市場調査を行うことが重要です。
3. 児童発達支援事業の報酬体系
3-1. 児童発達支援の基本報酬
児童発達支援事業の報酬(介護報酬に相当するもの)は、サービスの提供内容やこどもの利用時間に応じて自治体から支払われます。
【基本報酬(1日あたり)】
- 児童発達支援(通常規模型):約 900~1,100単位(地域や規模により変動)
- 児童発達支援(小規模型):約 950~1,200単位(利用者数に応じて変動)
※1単位は10円換算(地域により異なる)
3-2. 報酬に影響する要素
報酬は、以下の要素によって変動します。
- 運営形態(通常規模型・小規模型・強化型など)
- こどもの障がい特性(重度・軽度)
- 提供する支援内容(個別支援か集団支援か)
- 加算の有無(加算を適用することで報酬が増加)
4. 児童発達支援事業の加算の詳細(令和6年度改定対応)
加算は、事業所の取り組みに応じて報酬を上乗せできる制度です。適切な加算を取得することで、収益の向上が期待できます。
4-1. 代表的な加算の種類(令和6年度改定対応)
加算名 | 内容 | 加算単位 |
---|---|---|
児童発達支援管理責任者加算 | 個別支援計画の作成・管理を適切に行う | 200単位 |
専門的支援体制加算 | 理学療法士、作業療法士等の専門職を配置 | 49~123単位/日 |
専門的支援実施加算 | 専門的な個別支援を計画的に実施 | 150単位/回(月4回まで) |
関係機関連携加算 | 学校・医療機関・児童相談所等と連携 | 150~250単位/回(月1回まで) |
事業所間連携加算 | 複数の事業所と連携し支援を調整 | 150~500単位/回(月1回まで) |
児童指導員等加配加算 | 児童指導員の配置人数や経験年数に応じて支給 | 75~187単位/日 |
送迎加算 | 送迎サービスを提供する場合 | 片道50単位 |
食事提供加算 | 食事を提供する場合(施設基準を満たすこと) | 見直しあり |
4-2. 加算を活用した収益モデル
例えば、
- 基本報酬1,000単位 + 児発管加算200単位 + 専門的支援加算123単位 + 送迎加算100単位 → 合計1,423単位(1日あたり)
1日10人利用の場合: 1,423単位 × 10人 × 10円 = 14.23万円/日
月間の収益イメージ(20日営業)
- 14.23万円 × 20日 = 284.6万円
加算を適切に活用することで、基本報酬のみの場合より約1.5倍の収益増加が可能になります。
5. まとめ
児童発達支援事業を開業するには、
- 制度の概要を理解し、指定事業所としての要件を満たす
- 基本報酬と加算の仕組みを活用し、適切な収益モデルを構築する
- 加算を積極的に取得し、持続可能な運営を目指す
今後も児童発達支援の需要は高まるため、適切な計画と運営が成功のカギとなります。