マインクラフトが特別なこどもたちに与える力
マインクラフト(Minecraft)は、ブロックで自由に世界を作るゲームとして世界中のこどもたちに親しまれています。その一方で、自閉症スペクトラム(ASD)や発達障がいのあるこどもたちにとっても、「ただのゲーム」ではなく、社会性やコミュニケーションを育てる学びの場として活用されていることをご存じでしょうか?
この記事では、マインクラフトが発達に特性のあるこどもたちに与える心理的・社会的影響、そして教育・療育の現場での活用事例を、世界中の最新事例からご紹介します。
安心できるコミュニケーションの場としてのマインクラフト
自閉症のあるこどもたちは、対面でのコミュニケーションに困難を抱えることが多くあります。そんな中、マインクラフトのような顔を合わせない仮想空間では、チャットや看板、音声読み上げなど、自分に合った方法で気持ちや考えを伝えることができます。
ある支援学級では、普段ほとんど発語のない児童が、マインクラフト内では「駅を作りたい」「手伝ってほしい」と自発的に言葉を発したという報告もあります。ゲームを媒介にすることで、教室では見られなかった自己表現が生まれるのです。
世界の教育現場での活用事例
日本・茨城県の支援学級では、Minecraft: Education Editionを活用した授業を実施。場面緘黙の傾向がある児童も、ゲームの中ではテキストや音声を通じて仲間と積極的に関わる姿が見られました。
アメリカの特別支援教育者ショーン・アーノルド氏は、マインクラフトを通して社会性と感情の学習(SEL)を行い、言葉でのやりとりが難しかった生徒たちが少しずつ発語や文章表現を増やしていく様子を報告しています。
療育・グループ支援への応用
アメリカのNPO「Game to Grow」やオーストラリアの「The Empowering Hive」など、海外ではマインクラフトを使ったソーシャルスキルトレーニングの事例が数多く存在します。
療育スタッフがファシリテーターとなり、こどもたちがマインクラフト内で協力して課題をこなすことで、楽しみながら自然とコミュニケーションの練習ができるよう設計されています。ゲーム内で築いた協力関係が、現実の自信や対人スキル向上につながる例も多数あります。
特別なサーバー「Autcraft」の存在
世界には、自閉症のこどもたちのためだけに作られたマインクラフトサーバーも存在します。カナダ発の「Autcraft」は、いじめや荒らしを徹底的に排除した、安全であたたかなオンライン空間です。
ここでは、現実で孤立していたこどもが仲間を見つけたり、自分の感情や夢を表現できるようになったりと、心の居場所としての役割も果たしています。
研究と専門家の声
研究者の調査でも、マインクラフトがこどもたちの「協力する」「助け合う」といった社会的行動を増やし、問題行動を減らす可能性があることが示唆されています。
また、「ゲーム内で成功体験を積むことが、現実の自信や行動変容につながる」といった声も多く、適切なサポートと振り返りを組み合わせることで、より良い効果が期待できるとされています。
日本での動き
日本でも、NPO法人ここのばなどがマインクラフトを活用したオンライン療育を開始。発達障がいのある不登校のこどもたちが、安心して参加できる学びの場として注目されています。
マインクラフトを使うことで、「言葉にしなくても伝えられる」「遊びながら学べる」など、こどもたちにとって自然な形で社会性を身につけることが可能になります。
まとめ:遊びの中に、学びとつながりがある
マインクラフトは、発達に特性のあるこどもたちにとって「自分を表現できる」「仲間とつながれる」大切なツールです。
安心できる仮想空間での交流や協働を通じて、社会性や自信、他者とのかかわり方を自然と学ぶことができます。これからも、マインクラフトのような「こどもの好き」を起点とした教育・療育の取り組みに注目が集まることでしょう。